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「ねぇ、蓮。」
真剣な面持ちで時雨は前に座る蓮を見た。
「何だ?」
それに応じ、蓮も真剣に返した。
「確かに今回は、私の復讐であるけど、私の復讐では無いの。」
「?」
「父と母、それに…榊雨乃という榊永久子の遺族の復讐なの。そして私は遺族に代わって復讐をする復讐代行の時雨。
そこに私的感情が一切ないとは言えないけど、私は遺族の為に必ず復讐をやり遂げるわ。」
小さく時雨は口の端を上げた。
「つまり、お前は感情で復讐をやってるんじゃない。仕事としてやってると言いたいんだな?」
要約して蓮が聞いた。
時雨がゆっくりと頷く。
蓮は「違う。」と首を横に振った。
「何が?」
今度は時雨が聞いた。
「俺はお前が自分の復讐をするから止めるんじゃない。」
蓮は切って息を吸い、続けた。
「お前が、時雨が、人を殺すのを止めるんだ。」
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