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「俺は世間から見て、個人である前に警察官として見られる。だから…警察官としてもお前の“殺し”は許さない。」
蓮は目の奥に溜めた揺らがない自らの意思を出した。
警察官として…時雨には蓮が言いたいことがよくわかる。
どんな物にも理由を必要としてしまうのは弱いからなのかどうかは時雨にも蓮にもわからない。
でも、理由を上げる事によって一方の理由を否定することがあるのは珍しい事じゃない。
「わかってる。…あなたが、一番なにを言いたいのか、わかってる。」
目を伏せて時雨は静かに言った。
蓮は何としても、もう時雨に殺しはさせたくないと、させないと言っているのだ。
例えそれが自分の思い人の望みだとしても。
時雨を止めるにしても、これから先、生きていくにしても警察官という物を失ってはいけないのだと。
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