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時雨自身にも“殺し”というものを止めたいという気持ちは長年あった。
引くなら今が潮時というのも感じている。
また、止めると言えば、きっと蓮が山田リカ子を捕まえるというのも切実に感じている。
だが一方で、ここで止めてしまえば、今までの苦労が無に返ってしまうように思えてしまう。
幸せの絶頂を一瞬にして壊された姉と義兄や、壊れるまでに至った母、人に見せない分、多くの傷を抱えているだろう父。
そんな人々の気持ちを考えると時雨は立ち止まれなかった。
「蓮…。」
まっすぐに時雨は蓮を見た。
「全部…終わるまで、ここには来ないで…。」
目を見開き蓮は無言で驚きをみせた。
「連絡も取り合わないから…。会っても、話さないから…。全て終わるまで…私は、完璧な復讐代行の時雨で、
完璧にこの復讐を遂げてみせるわ。」
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