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白衣にボサボサの眼鏡の男。
「あー…、どちら様?」
とガリガリと頭を掻き、フケを飛ばしながら男は聞いてきた。
口を開く度に、煙草を吸っている人間独特の口臭が、離れていてもする。
「はじめまして、大塚さんですよね?」
丁寧に礼をして時雨は言った。
「ああ、大塚だけど…なに?こーんな、しがないビルに何の用?」
「整形のことで…」
時雨がそう切り出すと、大塚はその容姿から想像できない程、機敏に、時雨を睨んだ。
「お前…なに…?」
睨まれて、時雨は縮こまったフリをする。
「せ、整形したいんです!」
大塚はいかがわしげに時雨を見る。
「はやくしないと…アタシ…」
「金は?いくらある?…半端な額じゃ、俺は動かねーぞ。」
よく見れば、大塚のしている腕時計は、高価なな物だ。
「別人にするなら、いくらですか?」
「最低、5千万。」
大塚は、わざと時雨を試す為に言った。
「払います!いくらでも払います。だから…」
「あー、わかった、わかったからピーピー騒ぐんじゃねぇ。」
この必死さは相当ヤバいのか…?
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