9

8/58

2617人が本棚に入れています
本棚に追加
/365ページ
「?」 訝しげに時雨は、眉間にシワを寄せた。 「俺がやってんことが、違法だってわかってんだろー?だったら…そんな奴が証拠、残してんなんて思うなよ、バーカ。」 やっとの思いで大塚は顔を上げ、時雨の顔を見た。 無表情で、目に何の色もない。 それに丁度、時雨を見上げる形となった大塚から、時雨の顔の左に掛かっている髪の奥が見えた。 右目とは違う、“質”の左目。 「義眼…?」 大塚の呟きを聞き、時雨は銃を持っていない左手で自分の左目を抑えた。 「さすが…ヤブでも医者ってところかしら?…そう、これは義眼。」 口の端を小さく時雨は上げた。 「…右の視力は?」 医者としての好奇心か、大塚は聞いた。 「日常生活に支障はない。」 そう答えて時雨は1つ置き、付け足した。 「こうしていてもね。」 と。 .
/365ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2617人が本棚に入れています
本棚に追加