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「?」
訝しげに時雨は、眉間にシワを寄せた。
「俺がやってんことが、違法だってわかってんだろー?だったら…そんな奴が証拠、残してんなんて思うなよ、バーカ。」
やっとの思いで大塚は顔を上げ、時雨の顔を見た。
無表情で、目に何の色もない。
それに丁度、時雨を見上げる形となった大塚から、時雨の顔の左に掛かっている髪の奥が見えた。
右目とは違う、“質”の左目。
「義眼…?」
大塚の呟きを聞き、時雨は銃を持っていない左手で自分の左目を抑えた。
「さすが…ヤブでも医者ってところかしら?…そう、これは義眼。」
口の端を小さく時雨は上げた。
「…右の視力は?」
医者としての好奇心か、大塚は聞いた。
「日常生活に支障はない。」
そう答えて時雨は1つ置き、付け足した。
「こうしていてもね。」
と。
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