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この女…。
写真を見た大塚の顔が一瞬、強張ったのを時雨が見逃す筈がなかった。
「知ってるのね?」
「…。」
写真を握ったまま、大塚は答えようとしない。
時雨は躊躇なく、大塚の額につけた銃口をグリッと押しつけ、強い口調で言った。
「教えなさい。この女は、いつ、どんな顔にしていったの?」
「…こんな女…追いかけてどうなる」
ボソボソと大塚言い、時雨に山田リカ子の顔写真をずいと押し返してきた。
「どういう意味?」
時雨が問う。
「つい2年前くらいに来たよ…。この人の顔にして欲しいと女の写真を渡された。
俺も、この仕事で何人もの人間を見てるからな…一目見ただけでわかったよ。」
小さく大塚は、息を吐く。
「あの女は…精神的に狂ってた…」
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