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よいしょ、と大塚は重い体を持ち上げ、煙草の煙を吐きながらデスクの上を探し始めた。
「どこにやったかな…」
と呟きながら、探すと言うよりデスクの上の物を床に落としていく。
デスクの上の物を半分くらい落とした所で大塚は手を止めた。
「あった。これだよ…」
大塚が時雨に一枚のよれた写真を渡した。
渡された写真を何気なく見た時雨だったが、一瞬にして体が凍りついた。
大学のキャンパスであろう場所の
ベンチで本を読む姉。
永久子だ…。
「本当に…その女は、この人の顔にしていったの?」
写真を持っていない手を、グッと握り締め、声が震えないように力を入れる。
「ああ。その写真の人間、アンタの知り合いか?」
大塚が聞いた。
「さあ…どうでしょう…」
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