2617人が本棚に入れています
本棚に追加
/365ページ
妖しげに、ニヤリと笑った時雨に、大塚は不気味な“畏れ”を抱いた。
「アンタ…誰…？」
思わず聞いていた。
「あら？こういう職業やってるのに、訪ねて来た人間の名前を聞くの？」
ケラケラと時雨が笑うその様子は、子供が遊んでいるみたいだ。
「…アンタも、十分、狂ってるな。」
苦笑いで大塚は言い、またまた時雨はニヤリと笑う。
「知ってるわ。他人と少し違うってことはちゃんと自覚してるもの。」
時雨はクルリと軽やかに踵を返した。
「情報、ありがとう。」
パタン。
時雨が出て扉が閉まるまで、大塚は動けずにいた。
「なにが、“少し違う”だよ…。思いっきり違うじゃねーか。」
１人、ぐちゃぐちゃな部屋の中、呟いた。
．
最初のコメントを投稿しよう！