9

24/58

2617人が本棚に入れています
本棚に追加
/365ページ
長年、政界に居座っていた浅川と浅川の“家”の権力は絶大で、政界を引退した今でも何かと影響力がある。 浅川に田口コウスケの事件資料を頼んでまだ3日も経たないという12月13日。 時雨は早朝、電話で浅川に呼び出された。 「たく…年寄りは朝が早くて困る…」 文句を言いながら時雨は車を浅川邸へと向けて走らせた。 近くのパーキングに車を停めると、時雨は浅川邸の門を潜った。 「おはようございます。奥でお待ちです」 と、一昨日見た家政婦が時雨に言った。 長い廊下を歩いて奥に進むと、浅川は一昨日と同じように縁側に座って外を眺めていた。 「来たか。」 挨拶もなしに言うと、浅川は時雨にA4の封筒を渡した。 それを時雨はその場で開ける。 数枚の紙に、いつの日か見た田口コウスケの写真が何枚かあった。 .
/365ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2617人が本棚に入れています
本棚に追加