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長年、政界に居座っていた浅川と浅川の“家”の権力は絶大で、政界を引退した今でも何かと影響力がある。
浅川に田口コウスケの事件資料を頼んでまだ3日も経たないという12月13日。
時雨は早朝、電話で浅川に呼び出された。
「たく…年寄りは朝が早くて困る…」
文句を言いながら時雨は車を浅川邸へと向けて走らせた。
近くのパーキングに車を停めると、時雨は浅川邸の門を潜った。
「おはようございます。奥でお待ちです」
と、一昨日見た家政婦が時雨に言った。
長い廊下を歩いて奥に進むと、浅川は一昨日と同じように縁側に座って外を眺めていた。
「来たか。」
挨拶もなしに言うと、浅川は時雨にA4の封筒を渡した。
それを時雨はその場で開ける。
数枚の紙に、いつの日か見た田口コウスケの写真が何枚かあった。
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