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そして妹は山田リカ子と同じクラスだった。 妹の事を調べた調書によると、田口の妹は“明るく元気なクラスの中心的な存在”とされていた。 山田リカ子の“物静かで真面目な子”とは正反対だったようだ。 「もう一度…田口の経歴を見てみなさい」 浅川に言われるがままに時雨は田口の経歴の欄に目を移した。 時系列的には妹が自殺する少し前、田口の幼友達が階段から転落死、と書かれていた。 しかも、幼友達は田口の妹に好意を抱いていた様子と書いてある。 「山田リカ子は…」 「きっと田口の妹の事が好きだったんだね。」 と言って浅川は、フッフッといつもの笑いをした。 「まあ、資料を読むだけでは何とも言えないが…私が想像するに、彼女は田口の妹を恋愛的に好きなんではなくて憧れの“好き”だったんだろうね。」 .
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