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「どういうこと?」
時雨が目を細めた。
「きっと田口の妹は田口の幼友達と付き合おうとでもしてたんじゃないか?
でも、それを許さなかった。大方、“汚れる”って思ったんじゃないか、その年頃は敏感だろ?そういうことに…。」
浅川が小さく笑う。
それが“恋人”、いや“男”に対する絶大な嫌悪感の原因なのか。
と時雨は考えようとしたが、結局のところ他人の心は他人に聞かなければわかろない事を思い出して思考を止め、話を戻した。
「それで…山田リカ子は田口の幼友達を殺した…。そこから山田リカ子の思考はエスカレートし…」
田口の妹が自殺するまでに至った。
「田口くんは大切な友人と、間接的ではあるが妹を、彼女に殺されたんだね…。」
静かに浅川が言った。
だから…私に、殺すなと
彼は強く言えたのか…。
『殺さない』と田口に約束した時、安心したような彼の笑顔が時雨の脳裏によぎった。
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