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ちょっと経つと、案の定、男子トイレに急ぎ足で誰かが入って行くのが見えた。
もしかしたら本当にトイレに来ただけかもしれない。
蓮は多目的トイレをゆっくり出、男子トイレの方にゆっくり移動した。
個室は2個。どちらも空いている。
個室の前でうろうろしている人間がいる。
どう見ても、トイレをしに来た人間では無いことが一目瞭然だ。
「どうしたんですか?」
男子トイレの入り口から蓮が声をかけると、うろうろとしていた人間は、驚いたように肩に力を入れた。
「あ、あの…」
「!!」
その小さな声に、逆に蓮は驚かされた。
女の声である。
向こうから数歩、近付いて来た。
薄暗いトイレでは見えなかった顔が、だんだんと見えてくる。
この顔は…。
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