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榊永久子…。
蓮の脳裏に、その名と永久子の笑った顔がよぎった。
永久子の笑った顔は、実際に見たものでなく事件資料に入っていたものだ。
右斜めから撮られたその写真は、よく蓮が見た時雨の不敵な微笑みに、似ていて蓮の頭に残っていたのだ。
まさに、目の前に榊永久子がいる。
だが、写真で見た永久子の顔にある生き生きとした精気に満ちた顔ではなかった。
なにか、人形のような…生きてはいないんじゃないかと疑わせるような顔であった。
「どうされました?」
もう一度、目の前にいる榊永久子の顔を持つ山田リカ子に問いかけた。
「あ…あの…」
いきなり追っていた人間が目の前にいて、リカ子は心底驚いてる様子だった。
必死に理由を探してるように見える。
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