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「トイレ、いいですか?」
息子だろう幼い男の子を連れた若い父親が、不審そうな顔で、そう聞いた。
壁を利用して山田リカ子と対峙したが、その壁のせいで一般人を巻き込む所だった。
「失礼します…」
山田リカ子は小さく頭を下げると、いそいそとその場から立ち去った。
一般人の手前、蓮はリカ子を追うことは避けた。
署に着いてから、蓮は悶々と考えた。
何故、山田リカ子は、
自分をつけていたのか…。
「蓮先輩、今日は何処に行っていたんですかあ?」
速水がダラダラとした口調で、近付いて来た。
いつでも、糊のきいたスーツを着ていて、それが逆に速水の新人のような、半人前の雰囲気を一層と高めていた。
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