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『そうよ。家って言ったら1つしかないじゃない。私たちの家よ、雨乃。』
口調が変わった。
まるで、言い聞かせるような。
「…り、リカ子さん…?」
時雨の声が震えた。
『やだなあ、雨乃。お姉ちゃんって呼んでよ、昔みたいに。』
電話の向こうでリカ子がケラケラと笑った。
『早く帰ってきてね、雨乃。』
飄々としたリカ子の声。
その言葉に、時雨は目を見開いて、息を飲んだ。
いつの日かの、永久子のようで…。
『雨乃?本当に大丈夫?さっきから黙っちゃって…。もしかして、あの男?あの男のことなら大丈夫よ。お姉ちゃんが何とかしてあげるから。』
ね?っとリカ子は言った。
否、もうリカ子はリカ子でないのだ。
リカ子は永久子なのだ。
リカ子は永久子になったのだ。
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