2617人が本棚に入れています
本棚に追加
12月20日。
蓮は街中を必死に走っていた。
路地を曲がって、また曲がって。
それを何度も繰り返すと、蓮は目の端に写った喫茶店に入った。
確か、ここの喫茶店って…。
ある事件で時雨が入り、それをNシステムで追った蓮が来た場所だ。
まだ整わない息を落ち貸せるために、蓮は適当に窓側のソファー席に座った。
店員に、季節外れのアイスコーヒーを頼むと、大きな溜め息をついた。
「こーゆーことかよ…。」
時雨が自分と連絡を取らないと言った理由に気付き、呟いた。
時雨は自分が近寄らなければ、と
思ったんだろうな…。
アイスコーヒーを蓮は一気に胃に流した。
食道を、冷たい液体が通っていくのが、体が熱いだけによくわかる。
ツキン…。
「っ…」
疼くように後頭部が痛んで、蓮は顔をしかめた。
.
最初のコメントを投稿しよう!