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「あ…」
押し当てられたのは白のハンカチだった。
そして、それを押し当てた人物は蓮の向かいに座った。
時雨だ。
何か言いたいが、蓮は久しぶりに会った時雨で言葉に詰まった。
妙な沈黙が流れる。
先に口を開いたのは時雨だった。
「傷、平気…?」
「え、あ、うん、平気。だいぶ血も止まってきたし。」
と答えて蓮はハンカチを見た。
血が着いている。
手で後頭部を触ってみたが、それ以上、出る雰囲気はない。
「あ、ごめ…ハンカチ。今度、買うから。」
白のハンカチの血が、洗って落ちるものでは無いと気付き、蓮が言った。
それに対し時雨がぶっきらぼうに、
「いいよ、別に。」
と答える。
再び沈黙が流れた。
今度、先に口を開いたのは蓮だった。
「お前は…大丈夫か?」
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