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12月23日。 署に顔を見せようと、蓮はいつも通りの出勤の時間に署を訪れていた。 「おはようございます。」 署のロビーで、後ろから挨拶をされた。 矢島だ。 「あ、おはようございまーす。」 と軽く返した蓮は、矢島の隣で小さくなっている人間に気付いた。 恐る恐ると言った表情で蓮を見ている。 速水だった。 「おはようございます、蓮先輩。」 蓮と目が合って速水はペコリと頭を下げた。 「おう。」と蓮が答える。 スッと、矢島が蓮との間を詰めて来た。 「近頃、単独行動が目立つようですが…?何をなさってるんですか?」 ニコッと矢島が笑った。 心から笑っていない、表面だけの安っぽい笑み。 「別に、言うほどの事でもありませんよ。」 .
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