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無表情で蓮は答えた。
「私の階級はあなたより上です。答える義務があると思いますが?」
丁寧な口調だが、チラチラと苛つきが顔を覗かせている。
「階級は、強きが弱きを守る為にできたものです。そんな風に振りかざす物ではないと思います。
それに…答えなくていい権利と言うのもあると思いますが?」
バカにしたように蓮は鼻で笑った。
「…君は、本当に組織に向いていない。」
小さく口元を上げて矢島が笑った。
「え…」
蓮はその表情を見て思わず固まってしまった。
矢島が、出世ばかりの矢島が穏やかな笑みをしていたのだ。
「……」
「何です?蓮くん。
…組織に向かない=(イコール)私にとって邪魔な存在にならない、という事だ。それなら、君を邪魔する労力は出世の為に使おう。そう素直に思ったらだけさ。」
肩をすくませて、矢島は笑った。
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