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12月24日。
携帯に、蓮から電話が来た。
明日が過ぎるまで、電話はして来ないだろうと時雨は考えていたのだが、電話が来たので不審に思いもしたが電話を取った。
「もしもし…?」
『時雨…さん?』
電話をして来たのは蓮ではなかった。
男だが、ダミ声だ。
しかも呼び捨てにするか、“さん”を着けるか迷っていた。
「どちら様?」
無愛想に時雨は聞いた。
『俺だ。覚えてねえか?相田と…』
「ああ…。一課の課長さん?」
『そうだ。久々だな、榊雨乃?』
電話の向こうで笑っているのが、時雨には容易に想像できた。
つくづく、嫌な男…。
最初にこの男と、相田と会った時もそう思ったな、と時雨は思い出した。
「で、結局、何なの?しかも今、時雨だから…。」
『はいはい…。』
面倒臭そうに課長は返事をする。
『それより、蓮がな…。』
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