2617人が本棚に入れています
本棚に追加
「それに、ほらー朝って言ったって、この家暗いんだから電気点けましょ。」
ふわふわ綿のようにリカ子は柔らかく笑う。
時雨はそれをぼうっと眺めていた。
だが…。
「今日は何を食べよっか。母さんも父さんもいないから美味しいもの食べましょう。」
ニコニコと笑いながら話をするリカ子を見て、自分の中で沸々と怒りがこみ上げてくるのを時雨は感じた。
「そういえば雨乃、彼、もう来ないから安心してね。」
さらっとリカ子は蓮について触れた。
その瞬間、時雨の中の一本の線が切れたとも知らずに。
「アンタが…」
「ん?」
「アンタが私の全てを奪ったんでしょ!?」
.
最初のコメントを投稿しよう!