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蓮が時雨を抱えて門を出ると、いきなり前に黒塗りの高級車が止まった。
「!」
蓮が驚きと不審を込めて止まった車を睨み付けると、運転席から出てきた人間が蓮の前の後部座席のドアを恭しく開ける。
中に乗る人間の顔がはっきりと見えた。
浅川だ。
「あなたは…」
蓮は急な浅川の登場にたじろぐ。
「私が時雨を預かろう。」
威圧的な声でそう浅川が申し出てきたが、浅川と時雨の関係を一応は知っている蓮だがこのまま素直に時雨を渡して良いものかと戸惑った。
「心配なら君も追って私の屋敷に来ると良い。」
戸惑う蓮を見て浅川がそう付け足した。
「…わかりました。お願いします。」
と蓮が言うと運転手が時雨を請け負い、運転席の後ろに乗せ、車は発進した。
すぐに蓮も自分の車で浅川邸へと向かった。
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