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一週間してやっと時雨の瞳に生気が完全とは言えないが戻ってきた。
浅川に「何も言うな。」と言われていた蓮は、時雨に声を掛けたいのをグッと堪えて浅川と時雨のやり取りを見つめていた。
そして長々と浅川は語るのかと思えば、ただ一言、
「お疲れ。」
と優しく言っただけだった。
浅川の前に泣き崩れた時雨が、いかに孤独に戦ってきたのかを示しているように見えた。
泣く時雨の肩に浅川は優しく手を置く。
時雨が泣き止むまでずっと、ずっと浅川はそうしていた。
蓮もずっと後ろに立ち、記憶に焼き付けるかのように目を逸らさなかった。
可愛い、私のもう一人の娘…。
もう終わったのだよ。
もう復讐は終わったのだ…。
心の中で浅川は時雨に言った。
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