2617人が本棚に入れています
本棚に追加
「時雨、お父上に会う気はないか?」
夕食の席、浅川は落ち着きを取り戻した時雨にそう言った。
言われた時雨は一瞬何を言われたかわからなかったのかキョトンとしていたが、すぐに首を横に振った。
「今は、いいや。」
短く答える。
だが、何か思うところがあるのか、隣で食事をしながら会話を聞いている蓮にチラリと目を向けた。
「?」
目を向けられた蓮は、時雨の真意を掴めず不思議そうな顔をした。
「もう少し、落ち着いて決心がついたら行くからそれまで待ってて。」
時雨は視線を目の前の浅川に戻し言った。
フッと何かを悟ったように浅川は笑い、頷く。
「蓮、明日ぐらいに相田さんに会いに行くから。車だしてね。」
「あ、ああ。」
時雨と浅川の間に無言の内に交わされた会話を気にしながらも、蓮は了承した。
.
最初のコメントを投稿しよう!