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「――――っ!?」
あまりの驚きに、息が詰まった。
それどころか、数秒、声まで出なくなった。
………え、えっ!?
――何で 今 ソイツ の 名前 を 吐く?
不明不明不明。
脳内処理、不可。
サラナル情報ヲ求メマス。
「っ、何だと?」
機能停止手前の脳では、そう問うのが精いっぱいで。
耳に彼女の声がキンキン響いた。
『だから、聖悟がアンタの所に来るのよ!!さっさとどっかに消えなさい!』
「違う、そうじゃない!何で国崎がウチなんかに来るんだよ!!」
…だって、君は―――
あいつは―――
「……君、国崎と付き合ったんだろう?
ヨリを、戻したんだよな!?」
焦燥感に駆られ、早口になる。
私は必死に決定打を聞きたがった。
お願いだからそうだと、言えよ。
自信満々に君らしく、
『そうよ?当たり前じゃない。』
って。
頼むから。
だが、彼女は私の言葉に憤慨したらしい。
さらに声を荒げた。
『……だ・か・らっ
何でアンタはそう鈍いのよ!!言わなくても分かるでしょ、言わせるんじゃないわよこんな屈辱!!』
「…え?」
瞬時に頭の中に、ある可能性が過ぎる。
…まさか
嘘だ。
嫌、嫌だ!
聞きたくない。
それ以上言うな――!
『………付き合って、ない。
断られたのよ、馬鹿!!!』
――――ピン、ポーン。
彼女の衝撃的なセリフと共に、タイミングよく鳴り響いたインターホン。
2つの刺激に脱力し、全く動くことができない私。
冷や汗が後から後から流れ出る。
『…ちょっと!もしもしっ』
篠原さんの非難するような声も、聞こえない。
私は、ただドアを見ながら立ち尽くすばかりで。
――今度こそ完全に脳は停止した。
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