地味女、現る

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――車が行き交う大道り。 多くの通行人が慌ただしくすれ違う。 サラリーマンのおっさん、OLのお姉さん、短いスカートの女子高生、チャラい暫定フリーター男。 たくさんの、人がそれぞれの目的地に向かう。 ―こんなに大勢の人がみんな他人であって、それぞれの人生を生きてるんだなぁ、とか。 少し哲学的に思ったり。 ちょっと立ち止まり、また足を踏み出して歩き出す。 昨晩の雨のせいで路面は少し湿っていて、水たまりが所々できていたが、 見上げると雲ひとつ無い青空が広がっていた。 きれいな五月晴れだ。 ピクニックにはもってこいだろう。 「……いい天気だなぁ。講義サボって散歩でもしたいなー。」 そうボヤいて空を仰ぎ、 ポケットに手を突っ込みながら通行人の一部にまぎれる女が、ひとり。 .
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