合コンと言う名の戦場

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ガタンッ バンッ!! トイレに入るや否や、いきなりドアに叩きつけられた。 派手に頭と背中を打つ。 …痛いな。予想はしていたけども。 「あんた、何様のつもり?」 ものすっごく低い声でそう言って私を睨みつけるギャルその1。 おーコワ。 これが本性ですかー。 「何様って…ただ普通に歌ってただけだけど。」 しれっとそう言ってみる。 …火に油をそそぐな、このセリフ。 「そうじゃねぇよ!何目立ってんだって聞いてんだよ!」 ホラ、ね。 まさに鬼のような形相のギャルその2。 …化粧落ちてんの、言った方がいいかな。黒い涙みたいになってるけど。 「ホーント、騙されたわ。 あんた、実は男好きだったんだね。あんな風にチヤホヤされて、うれしかった?えぇ?」 ギャルその3に髪を引っ張られる。 ちょ、毛根が傷つくからヤメテー。 ―なんて、脳内で展開されていることは欠片も知らない彼女ら。 しかしそろそろ終わらせよう、と、私は怯えたような顔を作り、上目使いに見ながら言った。 「ゴ…ゴメン!気に障ったなら謝るよ…。 私、今日バイトあるし、もう帰る!これならいいでしょ?」 本当にすまなさそうな顔を作り、手を前でくっつける。 ちょっと声を震わせるのも、ポイントだ。 満点だろ?どうよ。 「…フン!じゃあとっとと帰れ!」 「席ついたらすぐに店出てってよね!」 「割り勘、2000円でいいわ。今払って。」 予想通り、私の演技にコロッと騙されたギャルたち。 難なく成功、だ。 お金も今払うらしいし、ますますラッキー、てなもんだ。 ――さて、私の道化もここらで終了と行こうかね。 .
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