合コンと言う名の戦場

12/12
前へ
/452ページ
次へ
――― ―― 「遅いよー、ナツちゃん。次、君の曲だよ。」 戻ってきて一番に一人の男性にそう言われた。 …思えばこの人たちにもすまないことをしたな。 合コンに来たはずが、宴会につき合わせて。 ―まあ今日のことはさっぱりと忘れて、次頑張ってくだせい。 「ゴメン!それ、演奏停止にしといていいよ!今日、今からバイトあるの、忘れててさ!」 心の中でもで謝りながら、 私は慌てて荷物を片づけ、早口でまくしたてた。 「えー、もう帰んの?」 「うん…、ごめん。後は皆で楽しんで!」 本当にすまなそうな顔(パート2)を作ると、男性陣も、承諾してくれた。 「あ~じゃあ、しょうがないね…。」 「気をつけて帰りなよ。」 …イケメンズのみなさま。温かい言葉をありがとう。 「え~マジ残念~。」 「じゃあねぇ、ナツ。」 …ギャルズのみなさま。全く心のこもってない、むしろ殺意のこもったセリフをありがとう。 私は静かにドアを閉め、カラオケ屋を後にした。 ―― 外にでると、もうすっかり辺りは暗くなっていて、肌寒かった。 私は新鮮な空気を目いっぱい吸い込んでは、吐く。 ひと段落。 そして、 数歩歩いたところで後ろを振り向き、ほくそ笑んだ。 「…さて、今頃は気まずい雰囲気だろうね。もうすぐ解散、かもね。」 背をむけて、私は夜の街の中に消えた。         NEXT→
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2976人が本棚に入れています
本棚に追加