地味女、現る

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私は、本城 那津(ホンジョウ ナツ)。 19歳。 一応、女。 地元を出て、ただ今一人暮らし中の至って普通の大学二回生だ。 ……いや、 普通だと思うがね、私は。 あるヒト曰く、 私はどうにも、『一般的な女子大生』とは異なっているとか。 私のことを客観的かつ単純に例えるなら――― 『陰キャラ地味女』 らしい。 ほとんど化粧もしない上に常にジーパン、黒ブチ眼鏡。テキトーにそろえた肩くらいまでの髪。 その人からは女を放棄してるとも言われたっけな…… ―…別にいいだろうが、どーでも。 個人の自由だよ、諸君。 そんなことは特に気にしてないし、こんな容姿故に話かけられもしない。 悠々自適な一匹狼として過ごしているわけだ。 ……寂しい奴とか思っただろうが、私はこれで満足しているんだぞ。 なんの不満もありませんとも。 ――― ―― 歩いていたら、私の通うS大学がもう目の前にあった。 ドンと、重厚感のある門が立っている。 退屈な講義を聴くのは実に面倒だし、 精神的にも苦痛だが…… 仕方ない、と肩を落として校門をまたぐ。 …今日は本屋に寄って帰ろう、うん。 何か自分にご褒美を与えないと、やっていけないや。 .
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