地味女、現る

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今日の講義室の場所を思い返しながらそこそこ広い棟内を歩き回る。 ――と、あった。プレートの番号を確認して中に入る。 中では14、5人くらいの男女がそれぞれのグループで仲よさげに話している。 私はサッと教室内を見渡し、うるさいグループから離れた場所に座ることに…。 …おい、席は詰めろよ、邪魔くさい。鞄を座席に置いてるんじゃねぇ。 そうして行き着いた先は窓際の、後ろから2番目という好位置。 …こんなことでラッキーを感じる私はきっと小さい人間だろうな。 日当たりがよく、景色もよく見える。 窓の外をのぞくと中庭で大道芸まがいの――ジャグリングか、あれ―― をやっている男子が数人。 あ、失敗した。 恥ずかしそう。 辺りを見回してる。 ……ゴメン、バッチリ見ちゃったよ。 はは。 ――そんなところでチャイムが鳴り、 ハゲた英語の講師が入ってきて、出欠をとる。 しゃがれた、いかにも年配らしい呼び声に私は気の抜けた返事を返して、 授業がスタートするのをぼんやり眺めていた。 …あーあ、つまんね。 前の奴なんかゲームやってるよ。 .
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