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宿屋に入ると女将さんが温かく迎えてくれた。
食堂で軽く晩飯をとり、自分の部屋に戻る。
ちなみにこのゲームには空腹度というものが存在し、それが減ると体力が早く無くなったりと不便なことこの上ない。
朝昼晩食べてれば滅多に空腹度がゼロになることは無いが。
現実と同じように空腹を感じるので初めての時は驚いたものだ。
一体どんな技術が使われているのか甚だ謎である。
憎たらしいことに、自分を殺すかもしれない悪魔のゲームに、素直に感心してしまう。
部屋に着くと、すぐさまベッドに倒れ込んだ。
今日一日分の疲れを吐き出すように、大きく息を吐く。
風呂に入ろうか迷ったが結局入ることにした。
別に風呂に入らないからといって体が汚くなることはない。
この世界において、風呂というものは娯楽の一つなのである。
それでも、少しでも現実と同じように生活したかった。
現実が現実では無くなってしまわぬように。
この世界が現実になってしまわないように。
現実というものを繋ぎ止めておきたかったのだ。
ゆっくりと重い体を起こして、バスルームに向かった。
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