8月31日

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「な、何でお前が……」 驚き? いや、それ以前に信じられない。 玄関には微笑を浮かべながらひとみが立っていた。 一瞬、霊じゃないかと疑ったさ。もう一度も会えないんじゃないかと覚悟をしていたのに――。 「何で泣いてんの?笑ってよ、もしかして、ひとみちゃんと会えたのに嬉しくない?」 ひとみは未だ笑顔。 そうだった。オレ……泣いてたんだ。格好悪いトコ見せちゃったな。 「まぁ良いや。はい、これ見てよ」 ――とひとみは何やら白い紙をオレに渡してきた。 「……手紙?」 封筒などには入っておらず、ただ三つ折りくらいに折られた白い紙だけを渡された。 「うん、お父さんが光太君に、って」 おっさんがオレに? 内容が全く想像つかないが、折られている紙を開いて、黙読してみる。 《お前がこれを読んでるという事は、もうひとみと会ったんだろう。どうだ、嬉しいか? オレも良く考えた。娘の幸せを願うのが父親の役目だよな。お前にひとみを一旦委ねた。言っておくが、お前らの関係を認めた訳じゃねぇぞ。勝手に結婚なんかしたら承知しねぇからな。オレのひとみを泣かせたら、オレがいつでもお前を殴りにいくぞ。 あぁ、もう書くのは面倒だ。じゃあな、詳しい事はアンタの母親に訊いてくれ》 ハハッ、何つーか、おっさんらしい手紙だな。 ちょっと待て、今ひとみがここにいるって事は海外の件はキャンセルになったのか? 一旦委ねたってのはそういう意味なのか? オレはもう一度ひとみの顔を見る。すると、ひとみは改まった表情になり、 「光太君、好きです。もう一度私と付き合って下さい」 突然の告白。 コイツはいつも突然だ。だからオレはいつも振り回されっぱなしだった。 でも、それがひとみであり、そんな事はもう慣れた。 「……勿論だ。ひとみ……オレも好きだ」  
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