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そんな会話をしていたら、校長の(無駄な)話は終わり、始業式も無事に終わった。
という訳で、今は教室に戻って、オレの一番と言える大親友の鈴本 たつき(すずもと たつき)通称〝タッキー〟と今朝の件についての話をしている。
いや、正確に言うとこれからしようと思っているところだ。
「なぁ、タッキーは……あれ、何だったけな? ……ああ、そう、宮本 ひとみって知ってるか?」
「なに当然の事を訊いてんだよ? この学校じゃあチョー有名だぞ」
チョー有名? どういう意味だ? まぁ、確かに可愛いと言えば可愛いが。
「ちょっと待ったぁぁぁ!! 今、宮本さんって言ったよな?」
ヒロが遠くの方から猛スピードで走ってきた。それはもう、ダダダダ、という音付きで。
お前のその聴力に、凄く興味が沸いているのだが……。
「ああ、言ったがどうかしたか?」
「告白するのは無駄だぞ。やめとけ、振られるだけだ」
いやぁ、素晴らしい勢いで勘違いをするなぁ、こいつ。
「こんなハンサムなオレさえも振られたんだぞ。しかも五回全部だ!」
前髪を右手で靡かせながら言うヒロは、とにかく気持ち悪かった。
ってかおい、お前はどれだけ告白すれば気が済むんだ?
それにオレが言うのもあれなんだが、お前は決してハンサムではない。
「すまんが、告白する気は皆無だからな」
ちなみに、オレはまだ告白という、こそばゆい事はしていない。告白はおろか、恋愛すらしたことがないのである。
「光太さぁ、そろそろ恋ぐらいしろよ。人は恋して成長していくんだぜ」
さすがタッキーと言えよう。もっともらしい、いい事言うねぇ。
隣にいるヒロも頷いているし。
「別にオレは、恋愛をしたくないなんて思ってないぜ? ただ好きな人が出来ないだけだ」
そうさ、好きな人さえいれば、オレだって――。
「お前は宮本さんでも駄目なのかよ?」
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