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「お前、本気で言ってんのか? そのジョーク全然面白くねぇぞ」
皆から告白されまくって、とうとう頭がいかれたか? そうだ、そうに違いない。
「本気! ジョークでも何でもないよ」
こいつ、本当だ。
そんな目をしてる。一直線にオレを見ていて、それはどこか力強さを感じ取れる程に――。
でも、オレはそれに応えてあげられない。
「ごめんな、まだオレはお前と付き合うとかそんな関係になれそうにないや」
宮本には悪いが、何も迷う事はない。オレの答えは決まっていた。
確かにコイツは可愛いよ。それは紛れもない事実だ。
同じ生き物とは思えないほど可愛い。それに、本当に短い間だったけど、こいつといる時間が楽しかった。
でも、好きとかそういう感情ではない。
オレはまだ、こいつの事を全然知らないし、そんな面食い野郎なんかでもない。
「ご、ごめんね……。わだじ……人をす、好きになるの、初めでで、こぐ……はぐ、するのも、初めて……で、失恋ずる、のも初めでだから……。こんなに辛い、なんて、解んなかっだから……」
またもや予想外でぇす、な展開に――。
どうしたものか? 泣いてる娘の扱いなんて知らないしな……。
「解ったから、もう泣くなって。お前が泣いてる姿を見てると、こっちまで悲しくなるだろ? あー、お前は笑顔が一番似合ってるんだから」
解ったから――いや、本当のことを言うと、全く解んないよ。
フラれた訳でもない。告白した訳でもない。ましてや人を好きになった事もない。
そんな奴が、フラれた奴の気持ちなんか解るはずない。
色んな意味でこいつはオレより先輩だ。
だからと言う訳ではないが、泣くことを嘲るようなマネは絶対にしてはいけない。
少しくらい飾ったクサイ台詞を言っても良いよな?
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