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飾った言葉とは言え、あながち間違いでもない。
だが、クサイ台詞を言ったには変わりない。
いや、後悔はしていないと思う。だけど、何だこの後から来る恥ずかしさは?
「山下君って優しいんだね?」
数分経ち、辛うじて泣き止んだ様子の宮本が、そんな事を言ってきた。
「あったり前だ! この山下様だぞ」
よかった泣き止んでくれたよ。
この時間の公園はさ、小さい子供は遊んでるし、マダムは買い物の帰りだったり、犬の散歩をしてる人が沢山いるから、何か変な視線を感じるんだよな。
だってこれ、客観的に見ればオレが泣かしたみたいだもんな。
「私、山下君のこと、絶対に諦めないからね!? 絶対に振り向かせてやるんだから、覚悟してね!」
覚悟ねぇ……。
そんな未来の事なんて解らないし、全否定は出来ない。
可能性なんて無きにしも非ずだからな。
「ふっ、いいだろ、受けてたつZE!!」
なぜ受けてたってしまったのか、言ったオレも知りたいね。
ふと空を見ると、辺りは良い具合に茜色と化していて、もうすぐ地平線へと太陽が沈みそうだ。
結構このような景色が好きだったりする。
「そろそろ帰るか? 暗くなる前に……。そうだ、お前を送っていかないと」
宮本は、満面の笑みで「ありがと~!」と返してきた。
その目にはもう涙はなく、表情も清々しく感じる。
さっきから、通りすがる人がオレと宮本の顔を交互に見て、露骨に驚いた顔をしているのは気のせいだよな。
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