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私は電車を降り、駅を出る。
海城駅はサラリーマンで溢れている。その中、一人私は自分の家へと向かう。
この駅から家まで、徒歩二十分という所。
それ程、離れている訳でもないけど、重い荷物があるので少し憂鬱になる。
凍えるような風が吹き荒れている。生憎、私は防寒具を着ていない。寒さは尋常じゃなく身を震えさせた。
家まであと半分くらいの所まで歩いてきた。
その時、前方から男の人たちの声が聞こえてきた。特別気にはしなかったけど、すれ違うと同時に背筋辺りに、妙な寒気を感じた。
それは寒さからではなかった。
「おい、見たかよ? あのお嬢ちゃん」
「あのすれ違った娘か?」
「そうそう。あの娘めっちゃ可愛かったぞ?」
「マジでか!? オレちょっと行ってくるわ」
男の人達の会話が丸聞こえなんだけど~。
あのお嬢ちゃんって誰?
私はすぐに辺りを見渡したけど、男の人たちが三人いるだけで、女性の姿は見当たらない。
もしかして……。
「ねぇ、そこの嬢ちゃん。おいら達と遊ばない?」
案の定、私は声を掛けられた。
「あの……急いでるんで」
「あぁん? 良い度胸してるじゃねぇか。オレ達の誘いを断るってのか?」
どうしよ~どうしよ~、これって結構危ない状況だよね?
「あの……ぅく!」
一人の男の人に腕を握られてしまった。うぅ~痛いよ……。
落ち着け……。落ち着け……。冷静になるんだ、私。
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