過去の事は振り返るな!でも忘れてはならぬ

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そんな私が困りに困っている時、 「おいっ! そこのゴリラ! 何やってんだ。早く動物園に帰りなさい!!」 どこからか、男の子の声が聞こえてきた。聞いた事のない声、だけど私と近い歳の人だと声のトーンなどで悟れる。 それも言ってることが……。 「誰がゴリラじゃー!! このヤロー、オレらとやり合うってか?」 この人あんな単純な挑発に乗っちゃうんだぁ。 って、それどころじゃない。恐い男の人は指をポキポキ鳴らしている。 助けてくれてるのに悪いんだけど、勝てるはずないよ。相手は大人に近いし、体型も全然違う。 「お前たち、オレが誰だか知らないで、喧嘩売ってんのか? ふっ、教えてやろう。オレは天下の山下様だ!」 「聞いた事ねぇな~。お前、オレらをバカにしてんだろ」 天下の山下様? ごめんなさい、私も聞いた事ないです。 でも山下様は、一歩も退く事なくむしろ立ち向かっている。 「おい、坊や。逃げるなら今のうちだぞ?」 「逃げる? ハッ、笑わせるな。それはこっちの台詞だ」 なんでこの人はこんなにも格好いいの? あたかもテレビに出てくるヒーローのように、私の目には映っていた。 でもこのままじゃ本当に危ない。 「お願い……逃げて! 私なんていいから逃げて!!」 私は喉が引き裂けそうになるくらい叫んだ。 「何だよ? せっかく助けてあげてんのによ……。オレは大丈夫だって」 だからって、なんで自分の身を危険に晒してまで、全然知らない赤の他人を助けるの? 「子供だからって手加減はしねぇぞ!」 「上等だ。オレだって大人だからって手加減はしないから」 ……へ? 言ってる意味がいまいち理解できないんですけど……。
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