過去の事は振り返るな!でも忘れてはならぬ

6/7

14272人が本棚に入れています
本棚に追加
/432ページ
彼が見えなくなり、私も歩き出す。念のため、周りを気にしながら歩く。 意味がないのは解ってるけど、重い荷物に腹を立ててる自分がいる。自分が買ったんだけどね。 結局、家に着いたのは八時だった。 ―――――― 「山下君、覚えてるかな~?」 「いや、ん~、そんな事があったような……なかったような……」 「あったんだって……! 懐かしいなぁ~。確か、寝る時もずっと、山下君の事を考えて眠れなかったんだよ」 こいつ大丈夫か? オレのいい所なんて微塵もない気がするのだが……。 やめよ、自分で言ってて悲しくなって来た。 「でねっ、私は次の日から、山下 光太って名前を手がかりに一ヶ月ぐらい捜し回ったんだよ?」 そりゃご苦労なこった。 今日から君は単なるストーカーだ。 「そして、中学校が解って、山下君の担任の先生と話し合って、山下君が希望する志望高校を教えてもらって、私もこの海城高校に来たんだよ」 ちょい待てーぃ! そんなの許される訳ないだろ? プライバシーだよ、プライバシー!! だが、コイツの本気さが伝わった。ってか、いささか照れるなぁ……。
/432ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14272人が本棚に入れています
本棚に追加