14272人が本棚に入れています
本棚に追加
/432ページ
彼が見えなくなり、私も歩き出す。念のため、周りを気にしながら歩く。
意味がないのは解ってるけど、重い荷物に腹を立ててる自分がいる。自分が買ったんだけどね。
結局、家に着いたのは八時だった。
――――――
「山下君、覚えてるかな~?」
「いや、ん~、そんな事があったような……なかったような……」
「あったんだって……! 懐かしいなぁ~。確か、寝る時もずっと、山下君の事を考えて眠れなかったんだよ」
こいつ大丈夫か?
オレのいい所なんて微塵もない気がするのだが……。
やめよ、自分で言ってて悲しくなって来た。
「でねっ、私は次の日から、山下 光太って名前を手がかりに一ヶ月ぐらい捜し回ったんだよ?」
そりゃご苦労なこった。
今日から君は単なるストーカーだ。
「そして、中学校が解って、山下君の担任の先生と話し合って、山下君が希望する志望高校を教えてもらって、私もこの海城高校に来たんだよ」
ちょい待てーぃ!
そんなの許される訳ないだろ? プライバシーだよ、プライバシー!!
だが、コイツの本気さが伝わった。ってか、いささか照れるなぁ……。
最初のコメントを投稿しよう!