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「行ってきや~す!!」
皆、オッハ~。
皆大好き、体操のお兄さんこと光太お兄さんだよ。
光太お兄……オレはドアを勢い良く開け、
「ランランル~♪ ランランル~♪」
軽快なステップを無口の空気に披露させつつ、我が山下家を後にする。
いやぁ、それにしても良い天気だねぇ。見ろよこの曇天。綺麗な鉛色しているだろ?
天気が良いとやる気、元気がUPするね!?
えっ何? キャラが変わってる?
気のせいだよ、気のせい。
……そこはかとなく視線を感じるんだが……。
普段通りに通学路を歩んでいるのだが、どこからか視線を感じる。
自意識過剰って言うなよ? 本当に感じてんだから。
……後ろか?
後方を振り向いてみたが、誰もいない。あるのはいつもと変わらない景色だけ。
やっぱり気のせいか?
でもまぁ、オレは世界の大スターだからな。
ああ~、人気者は疲れるのぉ。
「はぁ……」
「ばぁ~! 驚いた? 山下君?」
「……」
あれ、おかしいな……。寝不足か? 深夜に三流映画なんか見なきゃ良かったぜ。
見えてはならない物が(人だけど)見えてしまった。
ああ、気にしないで進もう。大抵こういうのは、気にしたら負けなんだ。
これはじっちゃんの教えだ。
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