14272人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょ、ちょっと、無視しないでよ~」
しかし、どうしたものか?
幻聴まで聞こえてきやがった。
「ねーえ、一緒に学校行こぉよ~」
こりゃ、オレ重症だな……。鮮明に聞こえてくる。明日辺りに病院にでも行こうかな?
「お、当たった。幻覚じゃないのか」
別に意図などないが、その幻覚と思われる物体にデコピンをしてやった。
「いった~い!! いきなり何なの? それに幻覚は酷いかも」
いきなり何なのってのは、こっちの台詞なんだがな。
幻覚だった奴(過去形)が怒り始めたが、可哀想に……。怒ってるんだろうが、恐さが全く伝わらん。
「っでなんだ? 用がないなら、もう行くぞ」
さっき言っていたような気がしたが、それは過ぎた事。
そう、過去には戻れない。
「だ・か・ら一緒に学校に行こ?」
「そうか、全力で拒否しよう」
なんだ? オレがそう簡単に了承してくれると思ったのか?
甘~い。考えが甘~い。
「なんでよ~?」
「仕方ない……。この光太君が、超詳しく且つ、超端的に教えてやろう」
「それどっちなのか解らないかも?」
悪かったな。オレは生憎と突っ込まれるのは好まない。という訳で華麗に無視しようか。
「お前といるとな、お前のファンクラブの奴に殺さるんだよ」
想像しただけで、背筋がゾッとするね。命が幾つあっても足りないねぇっての。
ひとみは『何この人、言ってる意味チョー解んないですけどー』ってな感じの目線をオレに送り、
「なに言ってんの山下君? 私のファンクラブ? そんなのあるわけないじゃん」
そう思うのも仕方ない。
そんなの漫画の世界だけだと、オレもついこの前まで思っていたさ。
だがな、現在進行形で活発に活動中とのことだ。
最初のコメントを投稿しよう!