14272人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、今に至る訳だが。
このままだと確実に始業式に遅れる。始業式に遅れるって遅刻カウントに入るのか?
遅刻だけは許されない。何でかって? 一度決めた事は、貫き通す。これオレの人道。
諦めたらそこで終わりだ。どんな漫画の主人公だって諦めなかったさ。
残りの一%の可能性が有る限り、オレは諦めない。
このまま走って行けば、どうにか遅刻は免れるかもしれない。
走れ! 走るんだ光太~!
少し進んだ場所で、オレは足を止めた。
道の真ん中に人らしき物が倒れているのを確認したからだ。いや、明らかにおかしいだろ。道の真ん中だぞ?
遠目で見てるから、はっきりとは解らないが、たぶん女子だろう。
まずだ、スルーするか、話し掛けるかの二者択一。
遅刻の事を考えると、スルーが適当な行動だが……こいつは、おじさんとかそんなんじゃない。
女子だ。それに、今確認できたが、うちの制服を着ている。
しょうがねぇ……。取り敢えず、話しかけてみるか。
「ねぇ君、大丈夫?」
「……」
え、無視ッスか? オレって、そんなに嫌われてるのか?
「……わぁ! わわわわ! ……ええと、頭が大丈夫ってこと? 初対面の人に対して第一声がそれってどうかな~?」
なんだこいつ? 極端に驚く奴だな……。
一瞬、苛立ちを覚えたが、その女の顔を一瞥すると、そんな感情宇宙の果てに飛んで行ってしまった。
可愛いんだな。
抱きたいんだな。
キスしたいんだな。
……ん、なんだ? 今なにかに取り憑かれたような?
最初のコメントを投稿しよう!