山下 光太

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そして、今に至る訳だが。 このままだと確実に始業式に遅れる。始業式に遅れるって遅刻カウントに入るのか? 遅刻だけは許されない。何でかって? 一度決めた事は、貫き通す。これオレの人道。 諦めたらそこで終わりだ。どんな漫画の主人公だって諦めなかったさ。 残りの一%の可能性が有る限り、オレは諦めない。 このまま走って行けば、どうにか遅刻は免れるかもしれない。 走れ! 走るんだ光太~! 少し進んだ場所で、オレは足を止めた。 道の真ん中に人らしき物が倒れているのを確認したからだ。いや、明らかにおかしいだろ。道の真ん中だぞ? 遠目で見てるから、はっきりとは解らないが、たぶん女子だろう。 まずだ、スルーするか、話し掛けるかの二者択一。 遅刻の事を考えると、スルーが適当な行動だが……こいつは、おじさんとかそんなんじゃない。 女子だ。それに、今確認できたが、うちの制服を着ている。 しょうがねぇ……。取り敢えず、話しかけてみるか。 「ねぇ君、大丈夫?」 「……」 え、無視ッスか? オレって、そんなに嫌われてるのか? 「……わぁ! わわわわ! ……ええと、頭が大丈夫ってこと? 初対面の人に対して第一声がそれってどうかな~?」 なんだこいつ? 極端に驚く奴だな……。 一瞬、苛立ちを覚えたが、その女の顔を一瞥すると、そんな感情宇宙の果てに飛んで行ってしまった。 可愛いんだな。 抱きたいんだな。 キスしたいんだな。 ……ん、なんだ? 今なにかに取り憑かれたような?
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