山下 光太

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ちょっと待て、今こいつ、山下君って言わなかったか? オレがあいつに自分の名前教えた覚えがないんだけど……? 光太という名前は出したが、苗字はまだ伏してあるはずだ。 「確かにオレは山下だが、なんでオレ名前を……?」 もしかして、オレって結構有名だったりするのか? オレの知らない所でファンクラブまで設立してよ……ムフフ……悪くない。 「あはは、ひみつっ! 気にしなくていいよ~」 腕を組んで一瞬考える仕草を見せたが、すぐに笑みを向けるその女の子。 どうでもいいが、またドキッとしてしまった。 それを秘密にして何か利益を得られるのか疑問に思ったが、一々ツッコミを入れるのは疲れるのでスルーするとしよう。 それにこいつは何も解ってない。秘密だったり、気にするな、と言われると余計に追求したくなるのだ。 まぁオレはめんどくせぇからしないがな。 もしかして、本当にファンクラブの子とか? すみません。ありえません。調子乗りました。はい、自重します。 ああ、解ってるさ、自覚もしてるさ。顔は中の中。特技を持ってる訳でもない。 彼女だって一回も出来た事ない。 オレはどこにでも存在する何の面白みもない平凡君だ。 べ、別に悲しくなんかないんだからね!? そして、オレ達は桜が舞うポカポカ陽気の中、楽しく会話をして、胸を張って遅刻しました!! と言えるくらいの時刻に学校に着いた。 あの美少女は、宮本と言ってオレと同じ二年らしい――。
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