14272人が本棚に入れています
本棚に追加
ちょっと待て、今こいつ、山下君って言わなかったか?
オレがあいつに自分の名前教えた覚えがないんだけど……?
光太という名前は出したが、苗字はまだ伏してあるはずだ。
「確かにオレは山下だが、なんでオレ名前を……?」
もしかして、オレって結構有名だったりするのか? オレの知らない所でファンクラブまで設立してよ……ムフフ……悪くない。
「あはは、ひみつっ! 気にしなくていいよ~」
腕を組んで一瞬考える仕草を見せたが、すぐに笑みを向けるその女の子。
どうでもいいが、またドキッとしてしまった。
それを秘密にして何か利益を得られるのか疑問に思ったが、一々ツッコミを入れるのは疲れるのでスルーするとしよう。
それにこいつは何も解ってない。秘密だったり、気にするな、と言われると余計に追求したくなるのだ。
まぁオレはめんどくせぇからしないがな。
もしかして、本当にファンクラブの子とか?
すみません。ありえません。調子乗りました。はい、自重します。
ああ、解ってるさ、自覚もしてるさ。顔は中の中。特技を持ってる訳でもない。
彼女だって一回も出来た事ない。
オレはどこにでも存在する何の面白みもない平凡君だ。
べ、別に悲しくなんかないんだからね!?
そして、オレ達は桜が舞うポカポカ陽気の中、楽しく会話をして、胸を張って遅刻しました!! と言えるくらいの時刻に学校に着いた。
あの美少女は、宮本と言ってオレと同じ二年らしい――。
最初のコメントを投稿しよう!