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突然鳴り響いた電子音が、頭を刺激する。
朝の寝ぼけた頭には少々厳しすぎる音だ。
跳ねるようにベットから飛び起きると、その少年は、慌てて目覚ましの息の根を止めた。
まだ少し電子音が聞こえてくる気がするが、耳に残っているせいだろう。
軽く耳を叩きながら、足を毛布から出した。
まだ若い少年だった。幼いといったほうが正しいかもしれない。背も低く、パジャマも有名なアニメのキャラクターが描かれている。
寝具は純白。清潔感溢れるものだったが、いささかシンプル過ぎるような気がした。
少年は欠伸を一つして、グルリと首を回す。
なぜかわからないが、少しだけ、変な気分がした。体調不良という意味ではない。
見慣れていたのに、知らないような。自分の部屋なのに違うような。言葉に現せない気分。
少年は先程とは逆に首を回し、また欠伸をした。
しばらくの間ぼーっとしたあと、スイッチが入ったように動き出す。
パジャマを脱ぎ捨て動き易い服に着替える。続けて、カーテンを開けて、日差しを部屋に取り入れた。
外は晴天だった。
憂鬱な気分になった。
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