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「ちなみに訊くけど、今日は何月何日だい?」
「えっと――――」
ダイスケは素直に答える。西暦と月日。携帯を開いて今言っていることが事実であることも示した。
無名は、笑う。
「ありがとう。おかげで今の時間も知ることが出来た。
ダイスケ君が親切な男の子で助かったよ。大抵の人は、今のように訊くと気味悪がって逃げていくから」
「無名おじさんは、この時代に来たかったの?」
「いや……。もう少し先かな」
「間違えちゃったんだ」
「そうさ。僕はおっちょこちょいだから、間違えちゃったよ」
飄々と笑う無名に釣られて、ダイスケも愉快な気分になった。
お尻を少し浮かせ、無名に近寄る。
無名は気付いていなかった。
耳鳴りは、まだ続いている。
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