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他の役員は外に出ているので、生徒会室には俺一人。
一人黙々と作業を進めていると、生徒会室にコンコンというノックの音が響き渡った。
「どうぞー」
「失礼しまーす。あらあらー、新山くんじゃないですかー」
スライド式の扉を開けて現れたのは俺の一年先輩で風紀委員に所属している高峰明(たかみねあかり)先輩。
定期テストでは常に三年生の学年トップに名前が載る秀才で、父親が弁護士だとかなんとか。
「どうしたんですか? 明先輩」
「ちょっと望くんに用があったんですけどー、いないみたいですねー」
そりゃあ、後輩に仕事押し付けてどっか行っちゃいましたからね、あの人は……
「ご迷惑でなければ、帰ってくるまでここで待たせていただけませんかー?」
「あ、全然構わないですよ。くつろいじゃってください」
ひとりぼっちで寂しさを感じていたところだし、視線の先に花があると仕事がはかどるってもんだ。
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