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学校の門をスーっとくぐる。
駐輪場に止まりお礼を言いながら自転車を降りた。
「おはよん★」
私達にショートカットの派手な格好をした
小嶋 弥生(17)
通称:ヤヨ
が近づいてきた。
彼女は私の親友だ。
彼女は私のコト何でも知ってる。
私が大和をずっと好きなことだって知ってる。
全部話すくらい仲がいいから、全部話す。
だから全部知ってる。
「おはよ♪」
「本田くんもおはよー!!!」
「はよ!」
大和は自転車を止め片手を上げた。
「あずー♪
もうすぐこんな季節よ?」
私のコトを“あず”と呼ぶヤヨは、私の腕に自分の腕を絡め大和をスルーして歩き出した。
「こんな季節?」
私はそう聞いている間に、ヤヨはおっきいミッキーのキーホルダーとリボンがついた鞄から雑誌を取り出しパラパラとめくった。
「こーれーっ☆
バ・レ・ン・タ・イ・ンっ♪」
見たらバレンタインの特集ページを開いていた。
「バレンタイン…か。」
テンションが落ちるというか、変な緊張をするというか……。
そんな私の反応を見て
「…やっぱ、あげないの?」
と眉毛にしわを寄せて言うヤヨに私は
「あげるよ…?
友チョコとしてね……」
と呟いた。
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