私とフラッグ

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やはり慣れない事はするもんじゃなかった。 普段見ても見なくても付けっ放しのテレビも、嫌気がさしてスイッチを切った。 室内が一気に静まり返った。あまりにも静かなので、隣の部屋の水道の蛇口から垂れる水の音が聞こえた。ホラー映画のワンシーンを思い出した。部屋には私しかいないけど、背後に誰かいる気がして怖くなった。 一人でいるのが怖くなって、締め切っていた窓を開けた。窓から外を眺めたら、外にいた馴染みのおばちゃんや学生が一気に散った。辺りを見渡しても、私の視界に入る範囲は誰もいなくなった。 世界の終わりを見ているようだった。 私はまた窓を閉めた。カーテンも閉めた。隙間から外が見えないように、カーテンの裾と裾をガムテープで留めた。 私は部屋の隅で、夜という時間が過ぎるのを待っていた。 遠くでサイレンの音がした。 三角座りのまま、音の聞こえる方向を向いた。真っ黒な筈のカーテンが赤黒く光っている。 赤いライトに照らされた部分が悪魔のような形をしていた。サイレンの音と共にライトが強く光ったり弱くなったりしている。 その姿が、私に向かって笑う悪魔に見えた。 ふと、フラッグに書いてある文字を思い出した。 おぼろげな記憶の中、初めてフラッグが喋ったあの日、初めて見えた。 『愛してるよ』
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