僕とフラッグと父

3/6
前へ
/26ページ
次へ
僕の家に沢山の旗が現れた。 青色の旗は何かを喋る。 喋る旗なんて僕は初めて見たので、喋る旗にフラッグという名前をつけた。 フラッグは車も運転できる。 どういう構造か分からないけど。 フラッグは僕を取り囲んだ。 僕はちょっと怖かったけど、フラッグに促されるまま車に乗った。 フラッグは白い建物の中に僕を連れ込んだ。 白い建物にはフラッグが沢山いた。 どのフラッグも青かったが、偶に茶色や黒もいた。 フラッグは地味な色が好きなのかな。 フラッグは僕を小さな部屋に連れていくと、イスに座らせて僕に話掛け始めた。 僕は勿論、フラッグの言葉なんか理解出来ないのでずっと黙っていた。 フラッグは何人もいる。沢山のフラッグが入れ替わり立ち代り、僕に喋る。 フラッグの万華鏡。 クルクル、僕の目の前で踊る。 “お父さん” フラッグが喋る言葉の中で唯一聞き取れる言葉だった。 この言葉が、僕の思っている意味ならいいんだけど。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加