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「大輔、早くしろよ」
ここはバスケ部の部室
10人程度しか入れないような狭さだ
実績もあるし、人数も多い訳だから、広くしてくれてもいいのに
「ちょっと待ってくれよ。もうちょいで、着替え終わるからさ」
大輔のくぐもった声が、ギリギリ聞き取れた
大輔は今、Tシャツの袖から必死に頭を出そうとしてもがいている、イケメンにあるまじき格好だ(関係無いけど)
あの体制のまま、もう3分近く経っている
え?教えてやらないのかって?
無理だ。俺は笑いを堪えるので忙しい
「待たねーよ。先校門行ってるからな」
今部室に残っているのは、俺と大輔だけだ
それに、いい加減帰らないと、下校時間まで5分を切ってる
そこら辺無駄に厳しいんだよな…うちの学校
「頼むよ。あとすこしで首が通りそうなんだって」
大輔さん、多分、首が通ったら今度は抜けなくなると思いますぜ
なんて事は口に出さない。優しいからな、俺
「早く首通せよ。あ、そうそう、お前の背中にカメムシ2匹くっついてるぞ」
「え?マジで!?」
くぐもっているのが、気にならない位大きな声になった
焦ってる証拠だ
ヤバい、俺のSの血が騒いできやがった
なんだかオラ、ワクワクすっぞ!
「ああ、しかも今はお前の背中に卵を受粉中だ」
「いや、シャレにならないって!しかも受粉って植物だから!」
「夫婦なのかなぁ、カメ太とカメ子」
「誰だよ!?カメ太とカメ子って!?」
「あっ!?カメ太がカメ子に突き落とされた!振られたのか!?」
「カメ太ぁぁぁ!!」
悪いな、大輔
今日は、作者の世界ではエイプリルフールなんだよ。許せ
てか、そんな前も見えない格好で暴れたら…
「あ」
ほら、言わんこっちゃない
足下にあったカバンに引っ掛かった
顔面からいくな。あれは
ビリッ
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