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ユキネが冷えそうな物を片っ端から集めて、俺は必死になった。すべての物がユキネを戻す能力がないこともわかっている。しかし、俺がどうにかしなくてはならない。俺を頼って来たくれたのにこたえられない。それどころか、今まさに命すら危うい。
「溶かしてたまるか! 消してたまるか! こいつは俺の大事な――」
そこまで口に出して今さら気付いた。なんで危険を冒してまでユキネがここにいるのか。なんで俺だけを頼って毎年ここに来るのか。そして、俺はなんでそれを受け入れていたのか。幼馴染みの腐れ縁だからか?
「馬鹿野郎……そんなわけないだろう」
色々なことに気付きとテンパる俺だったが、ユキネに袖を引っ張られ我に還る。
「うん? どうした」
精一杯冷静さを見せようと落ち着いた感じに問うと、ユキネは信じられないような言葉を口にした。
「シュンちゃん、ギューして」
「馬鹿!? そんなことしたら――」
だが、その先は言えなかった。ユキネの顔は自分が消えてしまいそうなのに、穏やかで。今、やらなきゃ後悔する気がした。
「これでいいか?」
ひやりとウェア越しにもわかるユキネの体温。
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